<修繕工事の検査の実際と基礎知識>

▽タイル浮き診断

 打音調査は、鋼球やハンマーなどを転がす、あるいは叩くことでタイル壁面の内部の浮き・剥離を検知する方法です。鋭敏で精度の高い結果が得られることから、業界では推奨されている調査方法です。(1分11秒)


▽シーリング検査

 シーリング工事完了後、品質検査として工事監理者下でシーリングの接着性確認試験を行います。施工部位及び施工仕様ごとに決められた箇所数の抜き取り試験を実施し、適切な接着強度が確保されているかを確認します。(2分51秒)


▽塗膜防水膜厚検査

 ウレタン塗膜防水層は、施工現場で下地に液状材料を塗布 し、その硬化により防水層を形成す るものであります。材料の塗布作業は、下地の状態、施工時の環境、作業者の技能、工法等の影響を受ける。その ため、膜厚の不均―や厚み不足が生じる場合もあ り、 それを確認す るため膜厚測定検査が行われています。

(1分13秒)


▽打ち継ぎ目地・誘発目地

 打ち継ぎ目地とは、コンクリートを打ち継ぐ際に、のちに発生するクラックから雨水の侵入などを防ぐために、計画的に設けるコンクリート構造体の継ぎ目のこと。 この部分はあとでシーリング材を充てんするために、コンクリートの打設時、適当な溝を形成しておく。

 誘発目地(ゆうはつめじ)とはコンクリートの乾燥収縮を想定し、ひび割れが入りそうな場所にあらかじめ作成して、他の場所へのひび割れを抑制するための目地のことです。正しくは「ひび割れ誘発目地」といいます。(1分20秒)



<大規模修繕工事瑕疵保険>


 大規模修繕工事瑕疵(かし)保険は、マンションの大規模修繕工事など共同住宅の共用部 分の修繕工事について、工事を請け負う工事業者が発注者に対して負う瑕疵(かし)担保責任の履 行をバックアップするために加入いただく保険です。大規模修繕工事を請け負う工事業者を対象に提 供するものです。

大規模修繕を行う場合には、工事業者に加入を条件としましょう。

<メリット1 >工事の質の不安には、建築士による現場検査の活用を! 

  発注者と工事業者の請負契約に利害関係のない第三者である保険法人の検査員(建築士)が現 場検査を実施します。第三者の検査をもって、安心の大規模修繕工事につながります。 

<メリット2> 工事完了後、万が一施工の「瑕疵」があっても、保険の裏付けのある確実な補修を依頼できます

  大規模修繕工事完了後、保険の対象となる工事実施部分に万が一「かし」(不具合・欠陥)があった ら、工事業者に補修を依頼します。保険事故と認定されれば、工事業者は保険金をもって確実な補修 が実施でき、発注者として安心して補修を依頼できます。また、工事業者が倒産等に至った場合は、保険事故としての認定を踏まえ、発注者が直接、保険会社に保険金を請求でき、補修ができます。 管理組合による大規模修繕工事の発注にあたり、管理組合としてのリスクマネジメントを図るため、工事 の入札にあたっては瑕疵保険の加入を要件にしましょう。 

<保険の仕組み> 

大規模修繕工事業者が発注者に対して瑕疵担保責任を負担することによって被る損害を保険会社は補償します。 また、大規模修繕工事業者が倒産等の場合など相当の期間を経過してもなお瑕疵担保責任を履行し ない場合は、発注者は保険金を直接請求できます。

 

国土交通省のホームページ

 



<マンションの大規模改修工事のポイント>

古賀一八 元福岡大学工学部建築学科教授

「マンションの大規模改修工事に向けて」から抜粋

◆お金を掛けずに良好な状態でマンションを維持していくには

管理会社の提案を丸呑みしない。住民が取捨選択できるだけの知識や相談相手を持ち、日常自分のマンションの状態に関心を持つこと

劣化現象が解れば、改修時にどうしたら劣化を防げるかが解ります。→改修時期も判断できます。

自動車のタイヤ交換時期はどう決めていますか?年数ですか?タイヤのすり減りやひび割れ状態を見て決めていませんか? →年数ではなく、仕様によって改修時期は異なる。

◆劣化や改修事例をたくさん見ておくことが大事です

劣化や改修事例を知り、目利きになりましょう。知っていることは、これから改修する自分のマンションの将来の姿が予想できます。

無駄なことをせず、いい加減なことをさせずに、同じ過ちをしなくて済むように、普段の行動の範囲の中で、たくさんの劣化事例を見て、原因推定や対策を考える癖を付けて下さい。

他のマンションの改修事例をたくさん見ておき、話しを聞くことが重要です。

◆建物を長持ちさせるポイントは

水に長時間晒さないこと