全国マンション管理組合連合会や地域のマンション管理組合連合会が発行する

機関誌の記事を紹介するコーナー


◆「NPO法人マンション管理支援の関住協」が発行する「関住協だより」第194号2022年3月から

いよいよ始まる認定制度

  これまでも「マンションは管理を買え」と言われてきたが、管理の善し悪しを客観的に 判断する基準がないことがネックになっていた。 

  そんな中、マンション管理計画認定制度が、本年4月1日から施行される。 これは、マンション管理組合の申請により、マンションの管理計画が一定の基準を満たす場合に、適切な管理計画を持つマンションとして自治体から認定を受けることができる制度である。この制度自体の説明は、他のところでも行われていると思われるので、ここでは、認定される基準のいくつかについて考察してみたい。

 

理事会よりも監事が重要? 

国の出した認定基準のなかに、「監事が選任されていること」がある。 

一般に、監事の役割についての正確な理解が乏しいことから、監事は楽な仕事で、副理 事(副理事長ではなく、理事の「副」)のように思っている管理組合も相当数にのぼるのが現状である。

本来、優良な管理を行っているかどうかの判断は、「監事を置いているか」ではなく、 「監事が充分に機能しているか」を評価すべきである。監事の役目は、年に1~2回、会 計監査を行い、総会で監査報告をするだけではない。標準管理規約(単棟型)第41条第 1項には、「監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し・・・」とあり、会 計監査だけではなく業務も大事な役目である。

そして、業務監査を行うために非常に有効なのが、同条第4項にある「理事会に出席して必要なときは意見を述べる。」ことである。関住協の会員の中には、理事会の終了時に、 監事の意見を聴く機会を設けている管理組合もある。

このことからも言えるように、「理事会の定期的な開催」は、管理組合の評価を行うに あたっては極めて重要である。にも関わらず、国の基準では「理事会のない管理組合もある」というかなり例外的とも言える根拠に基づき、採用されていない。理事会の開催を基準に取り入れている自治体は、私の知る範囲では、横浜市のみである。そもそも、一律で評価を行うのではなく、理事会の有無で、評価の満点やボーダーラインを別々に設けても 良いのではないだろうか。総会は概ね1年に1回だけであり、管理組合の日常的な業務執行に関する意思決定は、理事会において行われるのだから、理事会の活動の善し悪しは、 管理組合の力量を語る上で欠くことができないものである。

その上で、例えば、規約上理事になれない者が理事に就任していたり(理事を区分所有 者に限っていながら、その配偶者が理事に就任する等)、本来認められない代理出席によっ て、かろうじて定足数を充たしたりといった問題に派生していくのだが、ここでは、今回の認定制度の問題を論じる場であるから、これ以上の言及は控えたい。

 

修繕積立金の3ヶ月以上の物が全体の1割以内であれば、認定される可能性? 

関住協の会員組合の中には、600戸を超える大型マンションでも滞納が、ほぼ0という管理組合がある。3ヶ月以上の滞納が全体の1%程度という管理組合は、数多く存在している。その一方で、このような基準であれば、100戸のマンションで、 長期滞納が9戸もあっても、認定されてしまうかも知れない。管理の良好な管理組合を評価して、マンションを買う際の参考にしてもらえるように、この制度を普及させるには、この基準は低すぎると言わざるをえない。 ほぼ0の管理組合にとっては、同じ評価しかされないことは耐えがたいのではないだろうか。

 

長期修繕計画の見直しは必至!

長期機の計画期間は、これまでは25年が望ましいとされてきたが、今回、長期修繕計画のガイドラインが30年で且つ大規模工事を2回含んだ期間とされたことから、認定基準もこれに沿った取扱いとなっている。これまで、多くの管理組合では25年 間の計画しかないであろうから、認定中を行うには、当然に長期計画の見直しをせざるを得ない。このことから、今年4月から制度が始まっても、すぐに申請できる管理組合は数が限られるだろうと思われる。また、大規模修繕工事を何年毎に行うべきかは、マ ンション毎に異なる。特に、タイル貼りの場合は、20年たっても大丈夫なマンションもあり、そのような管理組合は、場合によっては、今後40年以上の計画を作成しなければいけないのだが、鉄筋コンクリート造の躯体は100年以上もつとも言われている一方で、 配管等の設備の面では、それだけの計画期間は果たして合理性があるのか疑問の残るところである。

 

いろいろと問題点を指摘してきたが、管理の良いマンションが正当に評価されるべき制度が生まれたことは、素直に評価をしたい。どんな制度も最初から完璧ということはあり得ないのであり、まずは始めてから、より良く改善されることで、より多くの管理組合の運営がすばらしいものになっていくことを期待したい。

(世話人横山幸一郎)

 


◆「NPO法人マンション管理支援の関住協」が発行する「関住協だより」第184号2020年7月から


◆「横浜マンション管理組合ネットワーク(浜管ネット)」が発行する「浜管ネット通信」第28号2020年4月から


◆「NPO法人マンション管理支援の関住協」が発行する「関住協だより」第180号2019年11月から