震災5年 全壊マンションの現状 朝日新聞

 熊本地震後5年となる2021年4月、4月19日朝日新聞は「解体、住民8割以上で決議 でも市は「全員同意」」「被災マンション 高い壁」の見出しで、震災5年の全壊マンションを特集した。

 「第2京町台ハイツ」を詳細に報告している。2016年10月熊本地震に適用された被災マンション法で所有者の8割以上の同意で解体出来るとしたが、公費解体の担う熊本市は全員同意を求めてきた。行方不明者、相続未登記、抵当権未抹消の処理や反対者の説得など多難な経過を経て公費解体し敷地を売却、やっと2020年2月に1億5千万円を分配し終わった。

 熊本市によれば、地震で約600のマンションが被災し、うち40件が全壊か大規模半壊と判断され、公費解体後に敷地を売却したのが9件、修繕して住み続ける事を選択したのが25件、建て替えを決めるなどしたのが6件。全員同意が取れなかったため公費解体の申請に間に合わず、市の救済制度を使って今春ようやく解体に入るマンションがあると紹介した。

 2011年東日本大震災で全壊マンションの解体が進まなかったことを踏まえ、法改正で所有者の8割以上で解体や敷地売却が出来るとした。熊本地震は法改正後の初めての災害であったが、法に基づく決議は実質的に1年以内、公費解体を行う自治体が全員同意を求めることが多いため、適用期限の延長、専門家の派遣、戸建て住宅を前提とした支援制度の見直しを訴えている。